人の思いも、景色も一瞬でも同じものはない

風が冷たく空気がどんどん澄んできた。空は空気が澄んだ分青く綺麗で寒くなってきたからこそ、空気が澄んで空が綺麗に見えるのに、もう少し暖かい方がいいなと思うのは勝手な事だろう。この季節には稀に一時期映画になりヒットした「恋空」と呼ばれる空が見られる。それは、ほんの少しの時間だが、夕暮れから日が沈むまでのわずかな間に見られる。
夕焼けの色とは違うピンク色の空は少し雲に影をおとし風に乗って流れていく。どうしていつも見られる夕焼け空と違うのかはわからないが、それを見ることが出来ると少し得をしたような気分になったものだ。切ない空ではあるけれども綺麗なのだ。悲しい季節であることと色がピンクといっても切なく少し悲しみを含んだ色合いが印象的な空だ。そんな空だからこそ、悲しく切ない恋物語である「恋空」の題名となったのだろうが。
私は空を見るのが好きで、出掛けて綺麗な空を見ると人を写すよりも空や風景を撮ることが多い。いつもの場所であってもそう。毎日見ている景色であっても、1日とて同じ色をしていることはない。日々変わっていく景色の中に身を置くとなんだか吸い込まれそうになる。ありきたりな毎日が当たり前になって日々変わっていくことが分からなくなったりするが、そういう日々から今を教えてくれるのは景色だろう。変わっていく景色の中じっと身を置くとその中に吸い込まれて、現実と夢の間にいるようなそんな感じに至る。それが怖いと感じる時がある。置いて行かれるような、知らない場所へ足を運んだような微妙な心細さ。夜になるとそれがもっと顕著になって表れる。例えば電車やタクシーに乗ってどこかへ出かけた時などはそうだ。来た道を帰っているはずなのにどこか遠くへ行っているような不思議な感覚。私の知る世界とは違う夜の顔をした世界が広がっているのだ。同じなのに同じではないそんな微妙な感覚にいつも戸惑うのだ。
変わらないものなんてないのかもしれない。例えそれが一瞬だったとしても。景色も人も。そして、その先に何が待っていても変わらない明日を望んではいないだろう。変わっていく日々の中で自分が何を思い感じるのか、それが先を紡いでいく。
